漢詩和訳008:奥山のいと静けしや(王維「鹿柴」)

漢詩の日本語訳作ってみたシリーズの8作目。今までで一番自分の理想に近い作品が出来たと思います、島崎藤村の書いた新体詩の影響をかなり受けています。

原文

王維「鹿柴」

空山不見人, 但聞人語響。
返景入深林, 復照青苔上。

 

解説

静かな山はどこにも人がいないけど、どこからか人の話し声が聞こえてくる。夕陽が山の中に射し込んで、岩の苔を照らしている。

試訳

奥山のいと静けしや
人影のひとつも有らねど
遠きより語らふ声の
ふたつみつ聞こゆるごとし
暮れゆけば束なる西陽の
雲間よりわづかに出でて
深き野に姿隠せる
むらを照らしてゐたり

 

参考:佐藤春夫の日本語訳(『玉笛譜』)

山ひそやかに人げなく
ただ語らひのもれひびく
林の奥に入日さし
青苔のというを照しつつ

 

この写真のイメージに近い

私が最近読んでる本

藤村詩抄 (岩波文庫): 島崎 藤村

 

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