【版画展】「旅路の風景ー北斎、広重、吉田博、川瀬巴水ー」

 

八王子駅からバス15分という遠いところにあるけどそれでもまた行きたいくらい素晴らしい展覧会でした…!

www.fujibi.or.jp

 

 

作品リスト

ここから展示作品全部とそれぞれの解説を閲覧できる(素晴らしい)

旅路の風景─北斎、広重、吉田博、川瀬巴水─ | 展示中の収蔵品一覧 | 東京富士美術館

 

全体

江戸の北斎・広重&昭和の吉田博・川瀬巴水、という同時代の版画巨匠が描いた旅の風景を集めた版画展。同じ時代の同じ風景画を扱っているので、作者ごとの特徴がよくわかる。

展覧会行くまでは『富嶽三十六景』と『東海道五拾三次』という似たシリーズ物を残した紛らわしい2人だと思っていたが、展示会を見てだんだん個性がわかってきた。

北斎山岳信仰がベースにあるからか、全体的に静かな感じ。山を背景にしつつ、農作や仕事人の場面が多い。

広重:絵の物語感が北斎より強め、動きがあり、ふざけた顔のおじさんも出てくる。グラデーションが上手い。

 

川瀬巴水と吉田博は、元々大規模な吉田博展に行ったことがあったので、展覧会で見たのとそれ以外という印象が大きかったけど、今回の展示でちゃんと巴水も見れたのでどちらも思い出深い画家になった。

川瀬巴水:深い色の背景を使ったコントラストがとても良い。登場する人物が絵の哀愁を際立たせている。

吉田博:巴水とちがい、絵の中で暮らしているように人が溶け込んでいる。異国の空気感から生活感まで版画で自然に表現している。

 

葛飾北斎

有名なのは『凱風快晴』だが、実際観るとこっちの方がかなり印象的!! 雨の夜中に富士山で歩いた道を自然と思い出してリアルだった。

葛飾北斎富嶽三十六景 山下白雨』

 

信州諏訪湖。展覧会で見たときはコントラスト強めで引きがあった。画像で見るとあまり感じない…。『君の名は。』見すぎたからか、2つの湖のようにも見えてくる(?)。

葛飾北斎富嶽三十六景 信州諏訪湖

たまに面白い構図がある。

葛飾北斎富嶽三十六景 東都浅草本願寺』


歌川広重

いろんな雨の表現の工夫を感じる。

歌川広重東海道五拾三次之内 大磯 虎ヶ雨』

歌川広重東海道五拾三次之内 庄野 白雨』

 

背景を輪郭を使わずにシルエットでぼかして朝霧を表現するのいい。

歌川広重東海道五拾三次之内 三島 朝霧』

表情豊かな絵はたくさんあるけど1つだけ挙げるならこれ。次見る機会があれば物語感も楽しむと面白いかも。

歌川広重東海道五拾三次之内 御油 旅人留女』

 

川瀬巴水

展覧会で江戸の版画を見すぎて、気分は完全に江戸庶民だったので、急にこの絵を見てかなり衝撃を受けた!! というか全ての絵が良い。吉田博展以来の大衝撃。

川瀬巴水『月明の加茂湖佐渡)』

深い色の背景に少しだけ明かりが灯っている感、小林清親の流れを感じる…!解説にも小林清親の影響を受けたと書いてあってとても納得。下図は小林清親の絵。

小林清親日本橋夜』

消えていくところのうまい光の表現~~。清々しい朝という感じ。

川瀬巴水『大坂道頓堀の朝』

朝の旅立ちを描いた李白の詩が似ているw

  • 朝辞白帝彩云间,千里江陵一日还。
  • (朝に辞す 白帝彩雲の間、千里の江陵 一日に還る)

 

朝鮮を表現した色合いが絶妙に韓国感を出している。シリーズ『朝鮮八景』は1939~1940年に作られたので、この頃朝鮮は日本統治下にあったと思うと作者はどんな気持ちで何をしていたのか気になる。

川瀬巴水『朝鮮慶州臨海亭』

 

吉田博

東京都美術館の吉田博展以来の再開。初めてみたときは衝撃が強すぎたが、今回は懐かしく穏やかな気持ちに(笑)

没後70年 吉田博展|東京都美術館

 

スマホの待ち受けを1年間飾った絵!

吉田博『サンチの門』

今回印象深かった作品はこれ。雨は降っていないのに、雨後だとすぐわかる。広重の一直線の雨の表現から、たった100年でこの濡れた質感が出せることに感動。

吉田博『神樂坂通 雨後の夜』

 

版画体験

版画体験コーナーもあり、ずっとやりたかった版画体験ができた。今関東圏で手軽に版画体験できるところはないのでうれしすぎる。

東京富士美術館 版画体験

ひらの『富嶽三十六景 凱風快晴』
へたすぎる